新型コロナウイルス感染症の拡大が日に日に目に見えてはっきりするようになってきています。地域の経営者の方々の危機感は高まってきています。切迫した様子もうかがえます。また、感染拡大に伴って人の無用な移動を避ける動きもあります。移動のリスクをおさえて、地域で活動する人たちをうまく使おうという動きもありました。私も、東京などへの移動を控えて、静岡県中心での活動に完全切り替えております。そのせいか、新しい動きも出つつあります。

上記の画像は、地元の企業からご依頼をいただいて新入社員研修をおこなったときの資料です。どんなに厳しい局面であっても、新入社員に対してこのような基礎教育の時間を確保される中小企業は素晴らしいと思います。採用が難しく経営も厳しい状況のもとであっても、必要な教育を行わなければ、せっかく採用した新入社員も活用できなくなってしまいます。ベストなのは自社で教育をする仕組みが構築できることです。ただ、このような厳しい状況ではなかなかそういう時間も割けないわけですから、協力できるところがあれば協力するというのが私の考えです。
地域の中小企業は、コロナのこともあって厳しい環境のもとにおかれております。経営者が、資金繰りや経営の方向性を決める役割があり、人材育成をおこなう役割も担っています。それと同時に、数字的なことに対しての結果責任ももっております。ただ、新入社員の育成までを経営者が引き受けるとなれば時間がたりない、余裕がないということになるでしょう。そこで、人材育成については、自社のなかで役割を担えるリーダークラスの社員に任せる、あるいは、外部の専門家に任せるという選択肢を検討することになるでしょう。
人材育成の専門家というのは、地域には決して多くはありません。地域の場合は士業などの専門家は多くいますが、人材育成分野だけに特化している専門家はそう多くないようです。人材育成、ヒューマンリソース、人材開発といった、働く人たちの教育に関係する仕事をしている人たちは少ないように思います。「教育」というキーワードで幅広くかかわる仕事を目指しているとはいえ、一番は地域の中小企業に役に立ちたいという気持ちがもっとも強い。それが私の素直な気持ちです。
そのようななかで行った新入社員研修。研修においては、「やってみせる、やってもらう」ということを重視して行いました。厳しい一面もあったとは思いますが、研修の中でできたことに対しては承認をする。厳しい事を指摘するときは、ある程度受講者との安全な関係を築いてから指摘するようにする。こうした声がけを意識しながら、一つ一つできることを増やしていくようにしました。できたことがある程度増えてきたら承認をします。やがて、徐々に質問も増えてきて、そのたびに社員同士のコミュニケーションや、社員と講師とのコミュニケーションも増えてくる。こうして一歩一歩成長への道を進んでいくのです。その道案内をするような役割を担っているのかもしれません。
新入社員たちができたことを一つ一つ承認して、彼らが一歩一歩積み上げるきっかけにする。私もそうやって一歩一歩積み上げてきました。社会人に最初に上司だった方が、承認を多くしてくださったのを覚えていて、一歩一歩積みあがっていく実感を得ることができたように思います。ですので、できることがどんどん増えて自信がついてきたことを記憶しております。
コロナのこともあり、職場によっては雰囲気があまりよくない方向に変化しているところもあります。だからといって、そのときに感じたイライラする気持ちを周りにぶつけてはいけないと思います。つい、仕事がうまく進んでいない社員に対してそのような気持ちをぶつけてしまうと、組織に入ったばかりの新入社員にとっては、仕事の面白さを実感できなくなるし、苦痛に感じてしまうかもしれません。そうならないためにも、新入社員教育については、一歩一歩積み上げるかのごとく進めていくようにするのが一番です。
4月初頭からコロナの件もあって、なかなか研修も教育も思うように進まない、できないというところもあるでしょう。だからといって、なにもしない、あまり初期の教育のための時間をとらないのでは、社会人最初のスタートからつまずいてしまいます。職場でコミュニケーションをとること、あいさつをできるようにすること、電話での応対ができるようにすること、名刺交換ができるようになること、報連相ができるようになること、など最初の教育でとりあげるものは各企業においてあるはずです。しかも、ここであげたようなことは、「わかりました」では不十分なことばかり。最初はできなくても、できるようにしていかなければいけません。とにかく一つでも習慣になるものを自分でとりいれていく。こうしたことができるような場面をどこかでつくらなければ、コロナショック以上に人材を確保できないショックが大きくなってしまうでしょう。
今年は新型コロナウイルス感染症で、生活だけでなく、人材育成にもいろいろと不便な点もあります。そんな状況のもとでもいかにして取り組んでいくか。様々な方法を模索する中で、地域の中小企業限定で私は新入社員教育を請け負わせていただきます。働く幸せを実感できる職場に新入社員とともにしていけるように。その動きが、みらいをつくっていくのだと思います。
静岡県地域の中小企業のみなさんとともに、私も中小企業経営者でもありますので、ともにみらいをつくっていきましょう!
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