経営に対して「幸せな職場をつくる」という、同じような想いをお持ちの方に昨夜は出会いました。同じ想いをもっている方とのお話というのは、まさに仕事をしていて幸せを実感できる時間です。同じ業界の方のなかには、そこまでの想いが必ずしも共有できるとは限らないのですが、どんな業界の人であれ、同じ想いを抱いている方に出会えると心強いし、まさに「幸せ」を実感できるものです。以前「サードプレイス・ラボ」という場で交流を深めてもきましたが、ここにいる人たちも、取り組んでいることが異なれど、同じ想いのある人たちです。一緒にいて、なにか勇気づけられ、幸せを実感できます。
このように、最近は「幸せな職場」についていろいろと思っていることを書いていますが、そもそもなぜそんなに「幸せ」を強調するのか、ということを改めて考えてみることにしました。あんまり「幸せ」ばかりが独り歩きしてしまわないように、そのあたりの私が感じている想いを振り返ってみます。
私はかつて、「働いていて幸せ」、と思える瞬間がおそらく少なかったように思っています。長時間の会議に出て体調が悪くなったことは何度もあって、会議アレルギーが一時はひどくなりました。また、職場のなかで口汚い言葉が容認されていて、「バカは死んだ方がましだ」「死ね」「だからおまえはいつまでたってもだめなんだよ!」のように、口汚く罵る上司に出会いました。あるときは、突然怒鳴りだし、物を投げつける上司にも出会いました。私が直接言われていなくても、こうした光景を現場で目にするだけで心臓の鼓動が早くなり、脈もおかしな速さに辛くなっていたのを思い出します。耳鳴りがひどくなることもあり、それが長期化して自律神経を乱したのは、まさにこうした職場での出来事が要因です。
また、別の職場では、仕事以外のことにはまともにコミュニケーションをとろうとしない上司もいました。上司自身は仕事がとても楽しそうなのですが、私は上司に全然コミュニケーションをとってもらえなくて、悩みを打ち明けようとしても相手にされず、上司との接し方に苦労しました。同じ部署の別の先輩からは冷たい目で見られのけ者にされました。体調不良で休んでもまったく気遣いの言葉もなく、もっとがんばれ、としか言われなかったです。そして、一番今までできつかったのは「酒が飲めないやつは営業なんかやらないほうがいい。よくそれで営業の仕事やっているよね」とその先輩に言われたことです。私は昔からまったくと言っていいほどお酒が飲めません。その先輩に対して殺気にも似たような怒りの気持ちが湧いたのを覚えています。
一方で、教育研修サービスを提供する法人営業の仕事をしていたころはとても楽しく仕事をしておりました。決して楽な仕事ではなかったけど、自分で学んだことや先輩から教わったことを活かして営業にいくと大きな成果に結びつきました。当時の上司は、日々案件の進捗に耳を傾けてくれて相談にも真摯に乗ってくれました。また、会社のなかで後輩の教育をやりたいとその上司に申し出たときにも、一緒になって企画を考えてくれて、無事に実践することができました。自分で学んだことが活かせてよい結果がもたらされ、また、周りの上司や先輩も温かい目で支援をしてくれました。うまくいかなかったときにも、なぜうまくいかなかったのかを考えさせ、自発性を促すような指導もされました。そういった指導を受けて自分の成長を実感した瞬間というのは、とても仕事が楽しくて幸せな気持ちでした。
こうした過去の経験を振り返ってみると、私にとっては、働く「場」がとても大切だと思ったのです。働く場で結果を出すためにも人材育成はとても大事な取り組みです。それを推進していく目的というのは、働きがいがあって、働くことに幸せを感じてもらえるような「職場」にしていくためではないかと思います。働く場所で幸せが実感できる社員が増えてくれば、働くことに目的をもっているので、売上アップや目標予算達成という成果にも結びつく。そういった成果が出れば社員も定着し成長する。働く場の幸せによって、様々なものに結びついていくのではないでしょうか。ここまで述べてきた取り組みというのは、遠回りで即効性がなく、なかなか手をつけないもののようにも思えますが、未来を見据えて考えてみるととても大切なことなのです。
職場で働くことに幸せを実感できる状態にして、売上アップや目標予算達成を果たすためには、社員同士での言葉の共有が欠かせません。同じ職場のメンバーと、日々仕事で楽しいと感じる気持ちや、なにか壁にぶつかっているときに想うことなどを共有するのがお薦めです。お互いの理解を深める意味でも、職場のメンバーと一緒に想いを共有するために話をしあうことが欠かせません。前野隆司教授の「幸せな職場の経営学」のなかでは、その際に、次の4つのポイントを意識することが、お互いの理解を深め合って対話をすることが必要とされています。
1.声に出す(自分の心に浮かんだことを、遠慮せず、そのまま言葉にする)
2.深く耳を傾ける(相手に寄り添い、傾聴する)
3.尊重する(お互いを敬い、お互いの考えを敬う)
4.保留する(判断・批判しそうになったら、しばらく心に置いておく)
この4つのポイントを意識しておく必要があります。この中でも、「保留する」ということについては、経験値があったり、想いがある人にとっては、ついつい保留をしないで言いたい事を言い放ってしまいがちです。こうしたことによって、後輩や部下を傷つけて職場の不幸な原因をつくることにもなりかねません。人間関係の問題を引き起こすことにもなりかねないですね。
働くことに幸せを実感できる社員が増えることが、売上アップや目標達成、そして、人材の定着にもつながるのではないでしょうか。特に最近は、新型コロナウイルスのニュースをみると、人の気持ちがいろいろとギスギスしたような状況になっているのを感じます。こんなときこそ、お互いの話を聴いて、幸せを実感できるのはどのようなことなのかを話し合ってみると、その場所が楽しくなりますね。景気が後退気味で厳しい状況ではありますが、そんな状況であっても心が折れることなく、働くことに幸せを実感できるような職場をもっともっと増やしていきたいですね。
厳しい状況を乗り越えるためにはいろいろとやらないといけないこともありますが、人の「気持ち」、特に社員の気持ちを置き去りにしてはいけないと思います。経営者自身も苦しいし、わかってほしいときだってあるのです、お互いにお互い様。気持ちを放置することのないようにしていきましょう。

この記事へのコメントはありません。