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「○○してはいけない」が職場の雰囲気を悪くする~「○○しよう」でいきましょう~

フリーになって3日が経過。新会社の定款の最終案が出来上がりました。設立まで秒読み段階です。明日には名刺、明後日には印鑑が出来上がって届く予定です。少しずつ準備が進んでいきます。

新しい年度が始まって、あちこちで新しいスタートが切られました。世の中の職場でも、新しいメンバー、環境の下でスタートがきられたというところも多いのではないかと思います。その際に気をつけなければいけないこと、たくさんありますが、今日は人を見るという観点に焦点を当ててみます。

昨年、私が研修を行った先で、ある方が言っていたのは、上司が悪いところばかりをみて評価をするということでした。うまくいっていないところがあると、それを減点していくような、減点主義の評価です。うまくいっていないところを指摘するのが中心になると、何が起こるのでしょうか?

「間違えてはいけない」「ミスをしてはいけない」という気持ちが強くなり、その言葉が脳をかけめぐります。「○○をしてはいけない」と考え続けますと、実際に「○○をしてしまう」のです。抑えつけているから、その抑えつけているポイントが行動になって出てくるのです。

例えば、車で事故を起こしてはいけない、と過剰に考えてしまうと、本当に事故を起こしやすくなります。実際に起こしていなくても、車を傷つけてしまうなどということもありえます。また、計算問題を間違えてはいけない、と過剰に考えてしまうと、実際に何問も計算問題を間違えてしまいます。研修の講師が、研修で間違えないようにインストラクションしようと過剰に意識すると、本当に間違えて焦ってしまいます。

このように、「○○してはいけない」のプレッシャーが、「○○する」ことにつながるのです。これは、心理学でいうところの、「心理的リアクタンス」に関係しています。つまり、自分のことは自分で決めたいという自己効力感が失われる状況の中で、人の心理として、その自己効力感を回復しようという心の動きが生じると言われています。「○○したい」という好奇心が抑圧されるから、強いストレスとなって、「○○してはいけない」への反発心が強くなるのです。こうした心の動きを実験で証明した心理学者もいます。

職場でミスをしてはいけない、間違ってはいけない。このプレッシャーを過度に与えてしまうと、本当にミスをしてしまう。上司が部下に対して、そういう状況に自ら追い込もうとしているのです。評価をするという言葉自体、私は好きではありませんが、この言葉も、まさに「○○してはいけない」ばかりのメッセージが込められてしまうと、人の成長を妨げてしまうのではないでしょうか。

これから、新入社員やその先輩の若手社員の育成にウエイトが置かれる時期がやってきます。その際には、上司は「○○してはいけないぞ」「○○してはだめだ」と言って部下に指示をするのではなく、「○○しよう」「間違ってもいい、どんどん○○しよう」という言い方で、指示してみてはいかがでしょうか。お互いを認めあう、受け止めあう職場にして、社員がのびのびと力を発揮し、コミュニケーションをとりあえるようになれば業績もあがっていくでしょう。

このような荒々しい京都の宇治川のような流れが職場にあると、人間関係が乱れ、雰囲気は悪くなります。人の心も離れます。こうした荒々しい流れを断ち切って、穏やかな流れにするのは、職場のリーダーでもある上司の存在です。リーダーのために書いた私の本(こちら)もご参考にいただき、良い職場をどんどん増やしていきましょう。

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