昨日の記事の反響が大きかったようで、いつもよりもビュー数が伸びていてうれしいです。オンラインでのやりとりは、研修や会議などの場面で、製造や物流などの現場をのぞき、事務系の職場を中心にこれからも続くでしょう。働き方の改革ではなく「変革」ですね。今回の変革によって、オンラインで行うことがのぞましいということはこのまま、という状況になるかもしれません。そうなると、ますますオンラインツールを用いたコミュニケーションへの抵抗感をなくしていく必要がありますね。
昨日はオンライン研修を行ううえでの心構えを書いてみました。今回もオンライン研修にかかわる内容でまとめてみようと思います。ZOOMを用いておこなうのを前提で書いていますので予めご了承ください。
オンラインでの研修をおこなううえで、「これはやってはいけない」というポイントはいくつかあります。研修講師として、受講者に促進をしていく立場(オンライン研修ファシリテーター)として、人によってですが、避けた方がいいことはいくつかあると思われます。多少私の偏見もあるかもしれませんが、今回は、オンラインでの研修を進めるときに避けることまとめてみました。昨日同様、研修業界での営業、納品管理、運営サポート、講師としての経験や、ワークショップデザイナーという、学びやコミュニケーションの場づくりの専門家としての知見を踏まえてまとめてみました。
1.指示が曖昧
昨日の記事で、受講者に対しては、どのような行動をとってもらう必要があるのかを、はっきりと伝えることが大事であると書きました。その逆で、受講者が何をすればと戸惑う状況をつくるのは避ける必要があります。特に自宅などから一人で受講するとなると、指示が曖昧であると戸惑ってしまって、何をしていいのかわからずに硬直してしまうでしょう。講師が受講者に何をしてほしいのかを明確に伝えるようにしましょう。長い文章を一気に読むようにダラダラと指示をすると、たいていは相手に伝わっていません。ですので、事前に伝える内容の準備をしっかりとしたうえで、受講者に指示するようにすべきでしょう。
2.ひたすら講師が話す
研修が一方通行型になってしまうパターンです。資格試験の対策講座や、昔の大学で行われていた授業のようなイメージです。勉強をするのであればこれでいいのかもしれませんが、研修は勉強とは違います。主体的に自分に必要なものを取りにいくために学び、気づくための場です。そう考えると、講師が一方的に話をオンラインの場で行うと、受講者が受動的、依存的になってしまうのでのぞましくありません。ひたすら講師が話すような研修を行うことは避けましょう。双方向で参加できるように進める工夫が必要です。
3.怖い顔で話し続ける
次は講師の表情です。スライドの画面共有をして進めている時は講師の表情はうかがい知れません。ふだんはカメラ越しに表情がよく見えます。ちょっとした目の動きやしぐさ、画面から隠れがちになる手の動きなどもよく見えるので時折気になります。講師として話をすると、ついつい真剣な表情で話そうと思って怖い顔になっているときがあります。「真面目な表情=怖い顔」です。真面目であるのはいいのですが、受講者は最初は見た目で判断します。怖い表情をしていると、受講者がどんどん受動的になっていくでしょう。萎縮して双方向でのコミュニケーションがとりづらくなりますし、質問が出なくなります。オンライン研修全体の場が凍りつきますね。表情はにこやかに進めましょう。
4.いきなりブレイクアウトセッション(グループワーク)をやる
2人もしくは3人でのワークを一斉にやろうとするのは、誰の声かわからなくなってしまうので避けましょう。5人~6人のグループワークに関しては、ブレイクアウトセッションなどを使ってグループ分けしてやるといいでしょう。ただ、研修の最初の方からいきなりブレイクアウトするのは適切ではありません。講師がそのブレイクアウトルームを見れなくなるため、かえって支障が出る可能性もあります。特に研修に慣れていない社員や、まだ気持ちが引き締まっていない新入社員に対しては、ある程度場が活性化してからやるのがいいですね。あるいは、ブレイクアウトをするにしても、何か具体的な指示を出すといいでしょう。話し合ったことを発表をしてもらうなどしなければ、受講者にとって無意味な時間を過ごすことになるかもしれません。注意して取り組むようにしましょう。
5.全員の前で誰かに厳しく指摘する
集合型もそうですが、オンライン型においても、受講者に厳しく指導する場合には注意する必要があります。特にオンラインで一人もしくは数名で研修を受講している側が、厳しく言われたことで萎縮してしまい、受講態度がかえって悪化する可能性もあります。公衆の面前で厳しく指摘するのと同じですから、状況によっては、精神的に動揺してパワハラを受けたと感じてしまうこともあるでしょう。画面で明確に表情もわかります。全員の前での個人に対する厳しい指摘は避けましょう。
6.操作方法がわからないなどを連発し不安を煽る
オンライン研修でよく用いられるZOOMなどのITツールは、おそらく若年層である受講者側が慣れている場合が多いと思われます。こうしたツール自体に強くなれとは言いませんが、強くないとしても、受講者に対して「私はすごく苦手」と繰り返し言い続ける必要はありません。操作方法がわからないことを何度も主張するのは、相手に過度に不安を煽るようなことになり決してのぞましいとは言えません。不安な気持ちが研修の場全体に流れ集中力を欠いてしまいます。多少の操作ミスは致し方ないにしても、できないことを何度も言い続けるのは、決して褒められたものではありません。講師の不安な様子が表情からも伝わると、受講者との信頼関係構築には阻害要因になってしまいます。基本的な操作方法はマスターし、難しい操作方法を伴うようなワークなどは、使えないのであれば避けるべきでしょう。
他にも避けるべきなのは、不信・不安な気持ちを相手に与えたことによって、研修への集中力を受講者が欠いてしまうことです。相手を信じられなくなり、安心できなくなってしまったら、研修の場における、講師と受講者の信頼関係が成り立たなくなってしまうでしょう。信頼関係をつくっていくのも、研修を創り上げていくうえでは欠かせません。安心、そしてお互いの心理的な安全を担保したうえで研修を進めていくのは、集合型でもオンライン型でも同じです。
オンライン研修だけでなく、オンライン会議であっても同じことがいえます。全国に事業所がある会社では、まるで恥をさらすような場となるオンライン会議もあるときいたことがあります。こうしたオンライン上で恥をかかせるのは、相手の気持ちを疲弊させてしまうことにつながりかねません。恥をかかせて発奮させよう、などという上長側の想いをぶつけて公衆の面前で叱り飛ばすのは、昨今はパワハラになりうる事案でもあるためやめるようにしましょう。
オンラインの場でも安心・安全の場にする。そのためにやるべきではないことを確認しておくべきでしょう。また、オンライン研修が集合型研修と比べて飽きっぽいなどの特徴も踏まえ、避けたほうがいいことは避けましょう。相手が学び、気づきを実感したうえで、研修後の行動につなげるためには、学びは自分にとって楽しめるものであるべしと考えます。講師も受講者も一生懸命やるからこそ楽しめる。この状況をしっかり守れるようにしましょう。
この1か月程度で、様々な場面でオンラインでの研修、教育、会議などの場面が劇的に増えています。オンラインならではの特徴を抑えて進めるとともに、避けるべきことも抑えて取り組む必要があります。参考にしていただけますと幸いです。
ここ2回ほどオンラインで研修などを進めるときの話題になっていますが、私は、すべてがオンラインに切り替わってしまう世の中になるとは思っていません。リアルコミュニケーションをとれるような時期になってからは、今回のオンライン中心になっている時期を経験したことを活かし、研修やワークショップなどの場づくりを進めていきます。

JR静岡駅前です。さすがに人が少なくなっていますね。飲食店への休業要請が実施されるようなので、さらに少なくなるのでしょうか。
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