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「楽習チームビルディング」を読んで~私の研修の土台となる本です~

新型コロナウイルスのせいで職場の空気が淀んでしまっているところがあるかもしれません。在宅勤務でそもそも顔を合わせないから清々しているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。コロナが人々の不安を煽っているというか、コロナがらみの情報でうんざりとしているようなところがあるようにも感じます。それも空気を乱しているのでは、と。

職場の淀んだ空気は一人一人の行動の変化によってきれいになります。私はそれを実感してきました。かつて、私がまだ独立する前に出会った藤咲徳朗(ふじさくとくろう)先生。社会保険労務士であり、一般社団法人日本褒め言葉カード協会の理事長。藤咲先生から何度も教えていただいたことがこうして一つの本となって社会出ることになりました。

「楽習チームビルディング」(セルバ出版著)。藤咲先生の4冊目の著書です。このたび、待望の本を手にすることができてとてもうれしかったです。しかも、世の中の空気が表紙にあるような「不機嫌なもの」になりがちなときに、です。この本には、上機嫌な職場に変えていくための考え方が集約されています。なかなか一言ではいえないくらいにぎっしりと詰まっています。

この本を読んでいく過程で、自分自身に思い当たることがありました。かつて働いていた職場。ある人の顔を思い出すと、朝、職場のいすに座ることがとても憂鬱だった時期がありました。しかも一回だけではなく、複数の職場で経験してきたのです。今思うと、私がそういう空気を引き寄せてしまったのかもしれません。あいさつもせず、怖い顔をしてパソコンを見ている上司の存在。この上司の存在が、職場の空気を不機嫌なものにしていました。話しかけると詰められる。その詰められる空気がだんだん嫌になる。そして、辞める社員がどんどん出てくる。改めて思い返してみるとそれがよくわかります。

・なにげない行動を大切にする

藤咲先生が書かれている、とても簡単な「なにげない行動」を続けていれば、その職場の空気は変わっていきます。家庭でもそうです。なにげない行動というのは、優しい眼差しで相手を見つめる表情になることや、愛を込めてアイコンタクトをする、そして、あいづちやうなずきをするなどの行動です。難易度が高いものではないのですが、できない人も多い行動です。ただ、こうした行動の一つ一つが、職場の空気を良くしていくきっかけになるのです。

最近になって、静岡県内の中小企業の方々に研修をする機会が増えてきました。そのときのテーマで多いのは、まさに藤咲先生に教えていただいたことを実践するような内容です。かつて私がかかわってきたような、上述の「なにげない行動」にあまり重きをおかれない研修の受注は激減しています。人間として、ビジネスパーソンとして大切なことを繰り返していく。こうした研修が多くなっています。私にとっても幸せになれる瞬間ですし、楽しく満足度の高いものとして認識されています。うれしいです。

先生の著書の中の第2章には、「これだけでもチームがよくなる基本のチームビルディング」という項目がまとめられています。ここで書かれている内容をやること自体は簡単です。しかし、なかなかできない人たちが多いのです。なにか自分でブレーキをかけているのか・・・実は、かつての私もその一人でした。どのような内容なのかみていきます。

・笑顔

まず、笑顔を軸にした表情です。私は「まじめな顔」をするのが当然のものと思っていたので、笑顔をふだんはしていませんでした。余裕がなかったのかもしれません。いつしか怖い顔になるのが当たり前になっていたのです。この本にも書かれている歯磨き笑顔。歯磨きをするときの動作を鏡の前でやってみます。そうすると自然に笑顔になっていきます。笑顔の有る無しで職場の空気が変わっていくのを、かつての私はまったくわかっていませんでした。本の中でも、笑顔が職場のルールになっているところが多いとあります。仕事をするときに笑顔であるのは大切なルールなのです。笑顔だけではありません。アイコンタクトもあいさつも同じ。これらはみな、簡単にできるものなのにやっていない人が多いのです。

・「ハイ」の返事

「ハイ」という返事。これも大切です。特に新入社員や若手社員にとっては、「ハイ」と明るく返事をすることが、報連相(ホウレンソウ)の第一歩になります。本の中でも、「ハイ」の返事が『私はここにいます』という最初の報告、とあります。これによって、良い人間関係づくりの第一歩になるのです。しかも、「ハイ」の返事を元気よくすることが、報連相しやすい人間関係をつくることにもなります。疎かにはできません。

・話の聴き方で欠かせない「あいづち」と「うなずき」

そして、話の聴き方も重要です。これも無意識に出来る人がなかなかいません。怖い顔やぶすーっとした顔をしてピクリとも首を動かさない方がいます。うなずきもせずあいづちもうたない。これでは話をしている側は辛いです。たとえば職場に目を向けてみると、あくび、不機嫌な表情、SNSやメールをやっている、話をしている上司がいるのに別の仕事をしているなど、話を聴く姿勢とはとても思えない社員が多く見られるのです。あいづちをうまく使えるようになれば、上司部下の関係も良くなります。チームの空気もよくなります。共感のあいづちは是非やってほしいものです。「辛かったでしょうね」「よくやったね、私も嬉しいよ」などのあいづちを使えるようになれば、話をしている側からすれば、つい涙が出てしまうくらいに感極まることもあるでしょうね。

・感謝の言葉、ありがとう

そして、自己重要感を高めるのが感謝の言葉でも「ありがとう」について。ありがとうと言うことは無料です。無料であるからこそどんどん利用すればいいのです。本の中では、ありがとうの意味を表す「感謝」の「謝」の字が、「言+身+寸」で出来ていることが書かれています。書のなかには、「お礼を言う『言』、行動で恩返しをする『身』、お金や物でお返しをする『寸』の意味がある」と書かれていて、ありがとうの気持ちは言葉にしないと伝わらないとあります。たしかに、「ありがとう」と言葉になって出てこなければ、相手には感謝の意味が伝わりません。藤咲先生がよくおっしゃっていることですが、「目は口ほどにものを言わない」のです。ありがとうを言われて、そして、ありがとうと言える。こんな「ありがとう」と言い合える時間が、人を幸せにするだけでなく、自分の「いまここにいる」ことの重要さを実感できるのです。

職場を上機嫌なものに変えていくということ、そのための考え方がこの本にまとめられています。ただ、それ以上に、人として大切なことをたくさんわかりやすくまとまっているのが、藤咲先生の書かれた本です。これまでの先生の著書もそれは同様です。小手先のテクニックで何かを簡単に手に入れることはできません。私がかかわっている研修の仕事もそうです。自分を大切にし、周りの人たちを大切に思い、かかわる人たちがみんなで幸せになるための考え方や行動の一つ一つを実践するからこそ、様々な果実がもたらされるのです。藤咲先生が企業研修やセミナーなどで話されていることは、その場にいる人たちとその周りの人たちが幸せになるためのエッセンスだと言ってもいいでしょう。

藤咲先生がこれまで実際にかかわってきた様々な現場の変化がそれらを物語っています。社員のちょっとした行動の変化により、新卒採用者の4割が1年で辞めていた会社が退職者ゼロになった、業績が毎年増収増益になったという企業の例もあります。これらはいずれも日本を支える中小企業なのです。中小企業の経営者や従業員の方々のちょっとした行動の変化によって、離職の防止や増収増益を実現できたというから素晴らしいことです。大声で気合を入れる、上司が大声で喝を入れて新規開拓させる、飛び込み営業をやらせるのでは、幸せになんてなりません。ちょっとした行動を積み重ねていくことでお互いを大切に思いやれるチームに変わっていくのです。そのためのヒントがこの本には集約されています。

・人間力を高める研修を

藤咲先生は著書の中でこう書かれています。

「いかに技術があろうとも、本人の心の持ち方が間違っていると業績向上をすることができません。だから、人間力高めておかないとならないのです。教育とは正しい心のあり方を教えることなのです。正しい心のあり方があるからこそ、技術が生かされるのです。この順番を間違えてはなりません」

私も全く同じように思います。仕事で必要な知識やスキルを身につけるのはもちろんですが、その土台である、人間として必要なことが備わり、行動できていなければ、知識やスキルは活きません。仮に短期的になにか大きな利益を得たとしてもいずれは衰退していくのです。「秒速で稼ぐ」とか、「たった〇日で◎万円を手に入れる」とか、そのようなものは長く続くものではありません。

藤咲先生の考え方は、人として大切なことを体感させてくれるものです。あいさつ、感謝の言葉、笑顔など、忘れかけていた人として大切なこと。コロナのような恐ろしいウイルスが拡がらないとその大切さがわからないというものではないのです。

ちょっとした行動を1日1日積み重ねていけば、やがてそれは習慣になります。その習慣の確立が、職場も家庭も幸せにするきっかけになるのです。私がまさにいま、それを実感しているからこそ、この3月~4月の研修では、集合型及びオンラインでも自信をもって伝えることができています。

私は、藤咲先生と出会って、すすで汚れてしまったかのような、廃れていた気持ちが少しずつきれいになってきました。昨年はまだ自分のなかに肯定感がでてこなくて、実感できるまでではなかったのですが、今は、静岡県の中小企業の方々に対して自信をもって伝えられるくらいになってきました。この本に立ち返って企業研修のプログラムを組み立てることで、今まで私が培ってきた様々な知識や技術が活きてきているようにも感じます。楽しく学ぶための場をつくってお互いに楽しく学ぶことや、人を幸せにするための大切な一つ一つの行動を実践し、中小企業の方々に伝え続けます。かかわるみんなを幸せにします。

明日も静岡でオンラインの新入社員研修です。先生からの教えを活かし、早口言葉をZOOM画面上でお互いに一斉に3回繰り返して言う実習を入れるなどしています。お互いに学び合える、成長し幸せになれるような楽しい時間をつくっていきます。

藤咲先生ありがとうございます。素晴らしいです。改めて感謝いたします。そして周りの皆様にも、家族にも感謝です。ありがとうございます。

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