新型コロナウイルス感染症の拡大によって、全国に緊急事態宣言が出て以降、研修に関してもオンライン化や延期、中止といった事態になっております。
昨日は静岡での研修でした。新入社員の受講者の皆さんがオンライン(ZOOM)で、私が教室から一人(サポートお一人)で進行をするという研修を行いました。トータルで6時間の研修でしたので、よく行う研修の時間よりは1時間ほど
短いのですが、ZOOMでやるとなるとお互いに勝手が違うところがあるので、やりにくいところも結構あります。ただ、工夫をすればオンラインでも孤独感を感じるところなく受講できる状況をつくれます。
オンラインでの研修については、私が入っている日本プロフェッショナル講師協会(JPIA)の勉強会等でやり方を聴いていましたので、ワークショップデザイナーとしての知見や、研修会社の経験知を採り入れながら様々な工夫をしてやってみました。いくつかのポイントを整理しておきます。
1.受講者の皆さんに、まめに多様に、行動を促す
私も経験がありますが、パソコンを一人でみながら研修を受けたり、講座を受けていますと、どうしても飽きるし眠くなります。ですので、できるだけ受講者の皆さんに手を動かしてもらうようにしました。ポイントは、行動は一定のものだけに限定しないことです。
たとえば、取り組んだワークを口頭で全体に発表するという行動を促します。オンラインの研修では、それ以外にも促せる行動はいくつもあります。受講者のご人数は10名以下ということもあって、一人一人発表してもらうのもOKですが、それ以外にも、チャットで入力をしてもらう行動も促しました。みんなの意見を可視化して違いを確認し気づきを促進するために行います。
なお、チャットについては、打ち込んでもらってそれで共有して終わるものと、打ち込んでもらったものについて、その背景を個別に発言してもらうものに分けました。特に個人の価値観に基づくものであれば、一人一人発表してもらうようにしました。
2.盛り込みすぎないようにプログラムを設計する
講義をするときには、できるだけ、ゆっくりと、重要な箇所は何度も強調します。できるだけ長く話をし続けないことも大切です。多くの内容を盛り込み過ぎてしまいますと、時間を守ろうと思って進行が早くなって早口になり、受講者がついていけなくなります。また、声の調子も抑揚がなくなって、一本調子になる可能性があります。これらが続くと受講者が眠くなるスパイラルに陥ります。大事なところは2度3度と強調する、頻繁に投げかけをするなどして、表情で理解度をみながら進めましょう。そのためにも、内容を盛り込みすぎないことです。
3.休憩時間をまめにとる、個別に内省の時間をとる
休憩は、対面の時よりも10分~15分早めにとります。私は、1時間~1時間半に10分の休憩をとるように通常はやっています。オンラインの場合には、1時間の集中も難しいでしょう。ですので、45分~50分やって5分~10分の休憩を入れます。自宅で受講の場合、長く座り続けると血流が悪くなって眠くなりやすいのでそれを避けました。また、多くの情報量を話した後は、いったん一人で内省をしてもらう時間をとります。情報量がいっぱいになっていくとついていけなくなるので、特に知識系の研修はこういう時間は必要です。
4.みんなで一斉に同じ動きを促す
イメージはクイズ番組です。「世界ふしぎ発見」などのクイズ番組のように
回答を書いてもらって、合図をして一斉に画面に向かってかざしてもらいます。そうすると、皆さんの答えがバラエティにいろいろと一斉に見れます。それを見た受講者のなかには、表情が豊かになる人も出てきます。にっこりと笑う受講者も出てきて、なんだか全体が明るくなります。少数意見の人の理由も聴くと学びも多くなりますね。みなさんが一斉に答えてもらうクイズやテスト形式のワークを入れるといいでしょう。ちなみに、「今の気分を漢字で1文字で書いて下さい」というのをやってみました。これは講師協会の時にやったものを流用させてもらいました。なかなかおもしろいですね。
5.一人の発表をみんなで聴いてフィードバックコメントを
1分間などの制限時間を設けて一人一人が発表するワークでは、みんなでその内容を聴くようにします。そのワークの際には事前に、「感想を後で述べてもらいます。誰にコメントを言ってもらうかわかりませんよ」、などと予告します。コメントを言うのが誰になってもおかしくないという空気をつくっておけば、しっかりと発表を見て聴いてくれるでしょう。そのうえでフィードバックのやり方も決めておくと、きっちりとやってくれます。たとえば、「良いところ一つ、改善点を一つ」という具合です。今日の研修では、原則一人のコメントにしたのですが、途中で「どうしても共有したい!」と自発的にコメントをしてくれる方も出てきて、何か場が一つになっている瞬間を実感できました。
6.行動を促すときは丁寧に説明を
何を取り組んでもらうのかは、丁寧に説明する必要があります。特に、受講者に行動を促すときには、いつも以上にその手順を丁寧に説明します。ワークの手順はスライドで投影しながら、番号を振って順を追って丁寧に説明します。スライドに書き忘れたからと言って、後から口頭で説明すると混乱します。事前に抜け漏れのないようにどのような手順でワークを進めるかは必要以上に丁寧にしましょう。
7.2択で回答する時には、同じ部位を動かしてもらうのはリスク
画面を見ると右と左が逆になります。ですので、「右手をあげるか左手をあげる」などの行動を促すのは、不慣れな場合には避けた方がいいかもしれません。私がやったのは、「○○の人は鼻をさわる、△△の人は口をさわる」などで明確に違いを分かるようにやってもらいました。
そのほか、今日は「営業の基礎コース」でしたので、その中で、非対面と対面のの営業の違いを話しました。いわゆる、電話による営業と訪問(応対)による営業の違いです。非対面のパターンを実践するには、カメラをオフにしてやってもらえると、その状況をつくりだせます。こうしたZOOMなどにある機能をいろいろと駆使してワークを考えるのも面白いですね。
また、今日は行いませんでしたが、お互いの意見をシェアする場合には、ブレイクアウトセッションを使ってじっくりと話し合うのもいいですし、あとはリアクション機能(いいね!などの反応)を採用してもいいですね。ZOOMの機能をフルに活用すれば、いろんなワークをとりいれることも可能でしょう。
一方で、ペアワークをやるときは、全員で代表2人の取り組みを見るのにはいいのですが、一斉にペアワークをやると誰が何をしゃべっているかわからなくなります。ペアワークでの体感は、どちらかというと、集合型研修に適していると個人的には思います。
以上長くなりましたがオンライン研修でやってみたことをまとめてみました。このやり方は、研修だけでなく会議でも活用できます。コロナ感染防止の影響で、オンライン会議も増えていると思います。以前富士市で「まちの会議のやり方」をやったときに取り組んだワークの中にも、オンラインで活用できるものもあります。オンライン会議システムを活用した会議の冒頭に行うワークとして取り組んでみると面白いですよね。
いろいろと書きましたが、しっかりと振り返って、オンライン研修と集合型研修のそれぞれの特徴を別の観点から改めて整理してみようと思います。

こんな感じの会場でした。マイク、マウスなどの備品も必要ですね。準備を丁寧にしてくださって、研修に集中できました。感謝です。
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