新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、経営のリスクは日に日に高まっているのを感じます。経営者の方々の周囲の声を聴いていると、かなりの危機感を持っていなければいけないと思います。ただ、その危機感を真っ向から受け止めて心理的に不安になって構えているだけではどうしようもないので、こういうときこそ、自社のビジョンや理念に立ち返って、様々な可能性を探っていくのが欠かせない時期ではないかと考えます。
先日のブログで、外資系IT関連企業の株式会社コンカーの取り組みを紹介しました。コンカーは、かつてある程度の成長を遂げたときには、何か会社の中で危機感のようなものがなくなっていたことが、その方が危機であると、経営者の三村真宗氏は考えました。そこで、改めて全社員が集まったミーティングの場で三村氏が危機意識の欠如を問題視してとりあげたそうです。経営者の危機感が社員に伝わって、そこで恐れるのではなく、未来を見据えてどうすればいいかを社員全員が考えてこの危機感を乗りこえたそうです。
今回の新型コロナウイルス感染症のリスクは、経済的に後をひくようなことが待っていると想定されます。ある程度の期間が経過したところで、一度失った需要をどう取り返すか、それを考えて実行に移すのは決して容易なことではありません。最終的には決断するのは経営者ですが、その決断に至るまでは、一人になってリスクを必要以上に考えることばかりが推奨されるわけではありません。そのリスクに向かってどう立ち向かっていくか。危機感を健全に意識したうえで、どのような未来を描いて進むのかを考えていく必要があります。
前野隆司氏の「幸せのメカニズム」の中では、幸せの4つの因子をとりあげていますが、その中に「ありがとう!因子」というものがあります。これには、「多様な友人がいることが幸せである」という意味も込められています。書の中では次のように書かれています。
友達が多様な人には幸せな人が多く、友達が均一な人には幸せではない人が多い、という統計的な結果があるということです。だから、仕事のつながりだけ、とか地域のつながりだけ、ではなく、多様な他者と親密になることが幸せの第一歩のようなのです。
そう、「つながりは多様である」というのがポイントです。こういう危機的な状況だからこそ、様々な分野で活躍する人たちの知見がとても重要なのです。一つの場所に所属していて、その所属の中だけでは解決しようとしないこと、ましてや、一人で何とかしようとしないことが強く求められるのです。
私は昨晩、地域の中小企業経営者の方々の、有志で集まる会に参加しました。皆さんとの会話の中で、地域の経営者の方々の危機感を共有するとともに、感染症についての正しい知識(インフルエンザウイルスの感染者の減少など)についても学ぶことができました。新型コロナウイルス感染症は、今治療薬がない分、大きな不安がのしかかります。ただ、テレビのワイドショーの情報だけでは正確な知識が得られるとは思えません。地域の経営者の方々の、リアルな意見や考えに耳を傾けていると、これからどんなことをすればいいのかいろんな発想が出てきます。この集まりだけですべてを済ませられるわけではないので、地域の別の経営者の方々や、私と同じような専門サービス事業者、他にもサードプレイス関連の仲間の方々など、様々な分野の人たちとの意見交換がとても有効だと考えています。
危機が迫っているので、「幸せ」という言葉ばかりを乱発していると、それってどうなのか、と思われるかもしれません。しかし、こうした世の中に暗い影を落とすようなこと、平時とは違うことが要求されているからこそ、希望を捨てることなく「幸せ」を追求するべきなのです!
多様なつながりがあるからこそ様々な知見を得られる機会がめぐってくるので、こうした多様なつながりによる出会いの積み重ねが「幸せ」だと感じられる瞬間なのです。だからこそ、有事であっても乗り越えるだけの原動力が心から湧き上がってくる。多様なつながりを信じて壁を越えていけばいいのです。
私の場合には、地元のつながり、東京のサードプレイス界隈でのつながり、そして、同じような仕事をしている人たちのつながりなど、多様なつながりを今も維持できています。つながりの強弱はありますが、維持できていることは幸せだと実感できる瞬間です。こうした多様なつながりの力を活かして、それぞれの場に新しい情報や有益な情報を提供し、それに必要なサポートを行うことが、今、私自身で一番できることなんだと思います。(サポートの内容はこちらもご参考にしてください)
職場単位で考えたときも、同じような発想でみてみましょう。自社の中だけですべてを解決しようとするのは難しいでしょう。今までのつながり、そして、今の組織のメンバーだけでは新しい考えが生まれてこないこともあります(コンカーの場合には決してそういうわけでもなかったのですが)。そうなったときには、今までとつながりのないところに、新たな情報を模索してもいいのではないでしょうか。様々な分野のつながりを活かしていけば、こうした危機的な状況は乗り越えられると、私は確信しています。そういった多様なつながりのあることに対して、幸せな気持ちを持って取り組んでいくことで、職場全体も決して暗くなって減退することなく、むしろ希望をもって挑戦していく方向に舵をきれるのではないでしょうか。

私が恐れているのは、こうした先の見えない状況への不安感で、気持ちに暗い影を落としてしまうことです。ストレスを抱えないことが、何より一番の感染症を防ぐ手立てです。恐怖感、不安感などが膨らんできて、気持ちに暗い影が見えてきたときには、コーヒーを飲む等して落ち着くことも必要ですよ!
多様なつながりとの出会いも、こうしたコーヒーを飲むことから思いつくかもしれませんからね。
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