新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、同じようなことが情報として日々流れてきます。テレビやネットなどで同じようなことを言われ続けますと、ストレスに感じてしまいがちになります。なかなか自分の気持ちを解放できない日々が続き、精神的にもどうやって自分を支えていけばいいかわからないという状況になりつつあるようにも思います。
こうした不安を感じさせるような声を多く聴くようになってきました。それだけ新型コロナウイルスの感染の動きが長引くとともに、その動きが鈍り始め、一旦の出口が見えてきている表れのように思います(そう願っている人の声が多く聞こえてくるようにも思えます)。同じようなことが未来永劫続くわけではないのですから、コロナウイルスの感染が抑えられる時期に向かう中でどう気持ちをコントロールしていくか。それを考えていくところに来ています。
テレワークや時差出勤、三密防止などによって、各企業においても、新型コロナウイルスの影響で働き方が変わっていく期間が長引き、様々な取り組みについて見直しをするのを余儀なくされていると思います。それに伴って心配なのは、社員の気持ち、メンタルヘルスの問題です。どうやって仕事へのモチベーションを高める必要があるか?また、自分の抱えるストレス、組織の抱えるストレスをどう減らしていくか?こうした観点も、徐々に考えていかなければならないでしょう。
経営を動かしていくために、資金や経営資源の確保が必要になるのはもちろんです。ただ、それらをうまく活かしていくためには、社員の力、すなわち人の力が必要になってきます。社員の力が活発でなければ、そもそも組織は活発にはならないでしょう。そうなると、社員をどう活発化させていくかを考えないといけませんね。ただ、いきなり活発になれと言ってもなかなかそれは難しい。心の問題がどこまで解決されているか、大きな問題になっていないかもよく見ていく必要があるでしょう。
今回の新型コロナウイルスの影響を鑑みて、国では雇用調整助成金の活用を呼びかけています。業績の悪化によって休業を余儀なくされた従業員への補償として、企業に対して助成されるという位置づけで主に用いられているようです。休業の補償だけでなく、教育訓練(研修)によって、組織を立て直す、強くするためにも使うこともできます。
雇用調整助成金を受けられる対象の教育訓練については、新型コロナウイルスの影響でその対象範囲が広くなりました。その中には、ハラスメント防止やメンタルヘルス関連といった、全社員に幅広く必要とされる知識・スキルに関するものも含まれています。また、これらをオンラインで実施することも状況によっては認められています。もちろん、業務に直結したスキル(たとえば営業力を強化するなど)に関しては従来から対象ですが、今回の新型コロナウイルスの影響を鑑みて、社員の心にかかわる内容を教育訓練の中に計画として組み込んでもいいのかもしれません。
新型コロナウイルスの影響が長引いていて、いろんな気持ちが満たされずにいますと、ついつい攻撃的になりがちです。また一方で、不安な気持ちが大きくなってしまい、物事になにか取り組もうという意欲が減退しがちになります。人に対して攻撃的になることで、ハラスメント行為につながることもありえます。
「コロナハラスメント」。俗にいう「コロハラ」が職場で起こらないように注意する必要があります。
露骨に「コロナだろ、おまえ!」などと、咳やくしゃみをした人に対して大声で言ってしまう。居住地に関係のある情報をもっている人に対して、「コロナにかかってんじゃないのぉ?」などという。また、感染した方が知人にいたと知ったとたんに、「もう会社にくるな」などと言ってしまう。誤った情報が広がってしまうことによって、事実とは全く異なる情報によって傷ついてしまう人が出てきてしまう可能性もあるでしょう。
不安な気持ちは誰もが抱きがちなものです。また、周囲になかなか言い出せるものでもありません。もし実際に何か攻撃的な口調で言い放つようなことをしてしまうとハラスメントの対象になりえます。コロナがきっかけで生じる「コロナハラスメント」は防がなければならないでしょう。組織としての考え方の共有や、コロナ対策は各職場や現場でぬかりなく行うとともに、社員の心の問題にも向き合っていきましょう。
どうしてもなかなか言い出せない気持ち、不安があったら、それをどこかに吐き出してみて下さい。私自身も、産業カウンセラーとして、こうした不安を受け止める時間をとらせていただくことは可能です。不安な気持ちを払しょくして、次に向かって、未来に希望をもって進むきっかけにしてもらえたら嬉しいです。

徐々に時間が経つにつれて、働く人々の心の問題に対しての懸念が大きくなっています。ストレスに対して対処する方法、不安な気持ちを払しょくする方法、などなど一緒に考えていきましょう。
この記事へのコメントはありません。