まだまだ捨てたものではない!日本はこれからだ!
今日はある読書会に参加してそれを実感しました。新型コロナウイルス感染症拡大によって、どうしても不安で気持ちがふさぎこみがちになるところはありますが、これが解消されるような、勇気づけられるようなことがありました。
話が急に変わりますが、AIによって仕事がとってかわられる、AIに何かを適用しようなど、AIに対してのかかわり方について様々な議論があります。新型コロナウイルス感染症の問題を毎日ニュースで伝えているせいか、AIの話題が最近はあまり出てこなくなりましたが、日本のAIによる技術革新は、決してストップはしないでしょう。
様々なデータを活用して分析をしていくのは、新型コロナウイルスの問題でも同じことです。ビッグデータを活用して、都市部の密集状況を調査する、あるいは、昨年との比較でどうなっているかをみる。このようにデータを活用して様々な分析を試みるために使われています。他にも、人と人とが接触するような場合を回避するために、AIを用いての様々な技術も用いられる機会が今後もどんどん出てくるように思います。
今日の読書会においては、このAIに関してのテーマと日本の再生や人材育成についての対話がされました。「シン・ニホン」という本を一部読み込んで対話をするという試みでした。なかなか時間をとって読み込めていないのですが、それでも一気に第1章から第3章まで読んで、いろいろな発見がありました。

この本では、経済指標や働く環境にかかわる指標が示され、悲観的な話が最初は出てきました。「ああ、日本はダメなんだ」という主張かな、と当初は思っていました。しかし、決して悲観的になる必要はないのです。
では、この本の第1章から第3章のなかで、印象に残った点を2つあげます。
まず、日本のすばらしさの一つとして著書の安宅冬人氏が挙げていた言葉が印象に残りました。「若い才能を信じ、託す力」が日本にはあるじゃないか、ということです。
過去の歴史を紐解いてみると、明治維新を成し遂げた勝海舟や西郷隆盛は当時40歳代でした。また、明治維新を成し遂げた後、欧米に視察に出かけた岩倉使節団の面々は、概ね30代~40代の政治家たちでした。若い人によって、国の形が変わっていくことになったわけです。書の中では、「未知なる変化のときに、若い人の力と夢に託すのは日本の伝統だ」とあります。
今回の新型コロナウイルスの問題に対処している地方自治体のリーダーを見てみると、たしかに同じような世代のリーダーがいます。たとえば、大阪府の吉村知事は40代、北海道の鈴木知事は30代です。地方のリーダーで存在が目立っている方々のリーダーシップを見る限りでは、こうした若い世代の力によって支えられていることがわかります。
また、データサイエンスなどの分野では、20代~30代の方々が多く居る印象があります。こうした若い人たちの力を十分に活かしていくことが各組織には求められます。これは、決してデータサイエンスやITなどの分野に限っての話ではありません。製造業の熟練工がいなくなっていることが問題となっている一方で、若い世代の知恵を活かしきれていないところも、これからの日本の課題です。未来を描く方向も見出していかなければ、日本は世界の中で置いてきぼりになります。これは、日本という軸だけでなく、地方にも同じことはいえます。従業員の高齢化に直面しているのであれば、若い人たちの知恵を活かすことを考えなければならないでしょう。
そして、もう一つ印象に残ったのはこれからの日本の人材育成についてです。これからの時代に世界で立ち向かっていける人材を活かすためには、AI全盛の時代に関わっていける若い世代をどうマネジメントするか。この点についても考えていかなければならないでしょう。従来からの職能的な制度に沿った教育研修制度ではなく、若い世代の新しい才能を活かせるような、従業員の発想を豊かにさせる教育が必要になると思います。
未来をデザインする力が求められるとこの本では述べられています。最近、デザイン思考やアート思考などが、学ぶべき思考法としてトレンドになっています。自ら課題を設定して、新しいものを創造する力が求められているのです。新しいものを発想しようと思って知識を集め過ぎてしまう前に、新たなものを創造できる力を養っていく。こうしたことを採り入れて、若い世代の育成を考えていく必要はありそうです。
この本では3つのスキルが紹介されています。ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力です。
・ビジネス力→課題背景を理解したうえで、ビジネス課題を整理し、解決する力
・データサイエンス力→統計数理、分析的な素養のうえ、情報処理、人工知能などの情報科学系の知恵を理解し、使う力
・データエンジニアリング力→データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力
それぞれのスキルをバランスよくセットされていることが推奨されています。また、基礎教養のリベラルアーツに関しても必要とされます。リベラルアーツに関しては、いわゆる昔からの人文科学ではなく、母国語、世界語、問題解決能力に加えて、データとAIを解き放つ力や、それらに対しての基本的な力が加わってきます。そして、最近教育現場で採り入れられたプログラミングに関しては、これらの力を身につける基礎の基礎みたいな位置づけなので、かなり早い段階で学ばせることが必須となるのです。
このように、世界で戦える人材の育成には、今までのようなビジネス現場で立ち回るだけの力を最初に身につけるだけでは不十分なのかもしれません。たとえば、ビジネスマナーや報連相だけでなく、思考をする力も早期に必要になりそうです。ロジカルシンキングだけでなく、デザイン思考や問題解決力の基本などは、新入社員もしくは大学などで学べるようにするのも一つの考え方ではないでしょうか。新入社員教育や若手社員の教育、育成する側も学びを提供する側も、内容をどんどん進化させていく必要があるでしょう。
私は、今年はコミュニケーションを軸にしたプログラムを新入社員研修で提供してきました。こうした教育はもちろん必須のものでしょう。ただ、これらの教育だけではなく、創造力を磨くような、新しい価値を創り出せるような思考を身につける教育も早期に必要といえます。ただ、周囲と協調して新しいものを開発していくとなれば、思考力を磨くだけでは不十分でしょう。頭でっかちになってしまい、人間としての基本的なコミュケーション力が劣っていると、宝の持ち腐れになってしまいかねません。
そうなると、やはりコミュニケーションスキルを伸ばす教育は、どのような仕事をするにしても、新入社員や若手社員の段階で不可欠なんだといえます。
一方で、こうした教育を社内で実践するためには、上司側もそれに見合ったコミュニケーション力が必要になります。上司側が世界で戦えるだけの人材をマネジメントをできないとなれば、未来に必要な人材を各組織で活かせなくなってしまうでしょう。上司側、すなわち管理者側も、今まで以上に若い人材を活用していくための力が求められます。彼らを育成することなどを含めて、組織の課題解決力をどんどん磨いて、発揮していかなければ、部下を育成することもできません。より思考を働かせて、物事を大きく俯瞰して見る力が問われるのがマネジメント層ですね。
AI×データ時代に進むにつれて、人材育成の内容や形態もどんどん進化させていく必要がありますね。こうしたところをおさえながら、世界で戦っていける人材の育成に各組織で推進していくことが必要です。人材育成に対しての考え方もどんどん進化させていきましょう。
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