最近は、様々な考えをうまく組み合わせたり、統合したりしながら物事に取り組むことが必要になっています。働く場所が幸せや面白さを実感できるところにするためには、なにも変化がない場になるということですと、幸せや面白さとは縁遠い気持ちしか抱けないもしれません。そこで、働く場所に幸せや面白さを実感できるようにするためにも、なにか工夫した思考法を採り入れることが求められるのではないでしょうか。
最近よくとりあげられている「デザイン思考」を始め、思考方法に関しても、様々な分野の考え方をとりいれながら、工夫して新しいものを採り入れていこうということが面白いですよね。デザイン思考以外にも、批判的な思考、仮説思考など様々な思考法がよくいわれていますが、最近は、右脳を用いた思考というものがあります。ビジネス現場でよく用いられる左脳を使って論理的に考える方法だけでなく、なにか直感を大切にするような右脳を用いた思考の方法もあります。
仮説思考や論点思考などの様々な著書で知られる内田和成氏の著書「右脳思考を鍛える」の中でも、ビジネスの現場でよく用いられる「科学的な、論理的な」といった考え方だけではないものをとりいれることが求められています。
多くの人間は、仕事では論理を重要視して、本能や勘などというものを働かせてはいけないというふうに考えてしまうようだ。(中略)しかし、勘というものは、多くの場合、過去の経験に裏づけされて自然と取捨選択をした結果であり、それほど非科学的なものではない。当たる確率は決して低くない仮説なのだ。
たしかに、なにか重大な報告をする、相手を説得するなどの部分では、様々な裏づけや考え方、データ、根拠などを重視して列挙したうえで、それに基づいて説明を加えていかなければ物事は受け容れられないように思います。経営の現場でも顧客との交渉の現場でもそういう場面は多くみられます。ただ、面白いのは、内田氏は、「勘」だけでなく、「観」・「感」という二つの言葉も持ち出して、決して論理的な思考、科学的な思考だけではない要素について述べています。たしかに経験と勘だけですべてが決まるわけでもないですが、どこかに勘や経験といった要素が加味されることはあります。
なにか仮説を立てるときも、今までの経験や勘があってこそ立てられることだって多くあります。むしろ、様々な物事を見つめて考えていくと、経験や勘だって決して侮ることのできないもの、ということになります。
経験や勘から大胆に仮説を立てて自由な発想が受け容れられるからこそ、面白いと思われるような考え方もアイデアも湧き上がってくるというものです。そうでもしなければ、いわゆるイノベーションのような革新的と思われることが出てこないでしょう。内田氏は著書のなかで、アイデアのことを「情報や知識が起こす化学反応のようなものだ」と述べております。
そして、こうした経験や勘があって面白いものが生まれるからこそ、働く場所も面白く、そして幸せだと思えるようなところになるのだと感じます。よく話し合いの場面でブレインストーミング(ブレスト)という形式がとられます。突拍子の無いようなものでも、アイデアをお互いに否定することなくバンバン出し合うような形式のことをブレストといいます。お互いに安心安全の場が出来上がるからこそ、ブレストによって面白いアイデアがバンバン出てくるというわけです。面白いアイデアが出てくるような空気、雰囲気が職場の中にできてくると、仕事に対しても面白さや楽しさが実感できるのではないでしょうか。
かつて、私が教育研修サービスを営む会社で営業の仕事をやっていたころは、こうしたブレスト主体のアイデアをたくさん出し合うような会議の場に出ておりました。上司がどんどんその場を活用し、様々なアイデアを出して営業自体を面白くしようと雰囲気をよくしてくれていました。突拍子もないアイデアが出てくるし、自然と笑顔にもなれるような場になっていました。それぞれがもっている考えや想いをどんどん吐き出し合っていくと、その場にもっと居たくなりますし、この人たちと一緒に仕事ができていていいなと感じられるものです。
そして、机上のアイデアだけで留まらず、それが一つの施策になって実行されることもしばしば。行動力のある社員が揃ったチームができあがり、結果も出るようになりました。私も営業予算を大幅に達成し、月間表彰を受けたきっかけにもなったのです。

様々なアイデアを出し合うときには、もちろん個々の勘や経験を活かすのも一つですが、このようなおもちゃ(ドミノ)をつかって考えてみるのも一つです。楽しく考えるための素材として、うまく活用してみるのも一つですね。勘や経験を活かしたワークが実践できるのも、こうした素材があるおかげなのかもしれません。言葉で上手く伝わらないものについても、目に見える形で伝えあってみるというわけです。それが突然びっくりするようなアイデアをうみだすことだってあるでしょう。こうした「びっくり」を楽しみに変えていけるような雰囲気を様々場所でつくっていきたいですね。特に職場がそのように変化すれば、職場自体が楽しい場になり、やがて、コロナに負けないものを創造「できるかも、やれるかも」、ですね!
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