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個人も職場もメタ認知力を高めよう~幸せな職場づくりの取り組みとして~

様々な出来事が現代の社会で起こっていて、その事実に目を向けると暗い気持ちになりがちです。新型コロナウイルスの感染の動きによって様々なイベントが自粛モードになっています。致し方のないこととはいえ、このままでは経済的にも影響が悪い方向に出ていくのは必至ですね。様々な規制がかかる、自由がなくなる。これはいつまでも続くことではありません。終わりのない世界に私たちはいるわけではありません。一つの出来事には終わりが必ずある。それを認識しては耐えることも必要です。悲観してばかりはいられません。悲観していても辛くなるだけですし、どんどん苦しさが増すだけです。そんな悲観のエネルギーも伝染して、より良くない状況を心の部分でまず呼び込みかねません。

こういう状況だからこそです。悲観的なことではなく、未来に向かってどのようなことをお互いに考えているかを意見交換する。現状の厳しい現実にばかり目を向けるのではなく、これからやってくる未来に向けて対話を重ねることが、幸せな職場にするための一つの条件のように思います。職場メンバーの一人一人が、どのようなものでもいいので、なにかを「自己実現」できたと実感できるようにすることです。未来に向かって何か自己実現できそうなことを見つけて、それに向かって走っていくのです。そのためには、同じ場にいる社員同士のコミュニケーションが必要になってきます。意見交換するためには、社員同士のコミュニケーションの場を、リアルでも、こういう状況だからみんなで一か所にネット上でアクセスできる場をつくってみるといいでしょう。

未来に向けての話題を提起して対話をするときには、悲観的なことばかり話をしていると、周りの雰囲気がどんどん悪くなります。特に声の大きい人や影響力のある人が悲観的な話題を出し続けてしまうと、幸せはどんどん逃げていってしまいますよね。幸せの無い職場は一つのチームとして機能しなくなります。楽観的な気持ちを持って対話を重ねていくことが、職場全体に幸せな雰囲気を自然と創り出せていくように思います。

では、ふだんなかなか楽観的になれないという人はどのようにすればいいのでしょうか?いつも悲観的なことばかり考えているという社員はどうすればいいのでしょうか?急に「楽観的になれ」といっても、なかなかそれはできるものではありません。人には思考のクセというのがありますからね。

本人が自分の気持ちに向き合っているかどうか。何も起こっていないことに対して不安になっているとか、いつも不安なことばかりを口にするとか、一体どうしてそうなのか、自分自身で改めて見つめなおしてみる必要がありそうです。

よくメタ認知といいます。メタとは、認知科学の分野で使われる言葉で「超~」「上の~」という用い方をするものです。是非自分自身を見つめてみて下さい。まるで幽体離脱して自分を上から見るかのように自分を見つめてみましょう。そうすると、なにか自分の気持ちの動きに気づきませんか?

これは個人単位だけの話とは限りません。チームでも一緒です。チームが今どのような状況になっているか。客観的に見れるような視点をもってほしいということです。どこかで客観的にチームに対しても見つめなければ、不安にとらわれてばかりのチームができあがってしまうのです。一つのチームがそうなってしまうと、さらにそれがどんどん組織に広がってしまう。そうならないように、不安の塊で覆われないようにしなければいけないでしょう。

前野隆司教授の「幸せのメカニズム」の中では、理性の力や人の目を気にする自分がメタ認知に関係している、といわれています。なにか人の目が気になってしまうというのは、見方を変えれば、様々な視点で観察ができる力があるということです。そういった思考を持ち合わせているということですね。どこか客観的に物事を見る目をもつことができる。そんな視点をもつ必要がありそうです。不安な気持ちにとらわれてしまって止まらなくなる前に、どこか物事全体を見れるように、自分の意識をシフトチェンジする勇気をもってみましょう。

私はかつて自律神経失調症を患ったことがあります。この症状が明確になり始めたころというのは、自分の気持ちが全く見えていませんでした。いや、見たくなかったといっても過言ではありません。なにかブレーキをかけることが、とても怖かったのです。やがて、ブレーキをかけないで思考がどんどんエスカレートして不安な気持ちばかりが膨らみ、それが体に異常な状態を呼び込みました。心身の疲労が急激に出てしまい、まったくなにもする気になれませんでした。頭では何かをしようと思っていても、体が全然動く気にならなかったのです。今、こうしてその自分に気づけたことはとても幸せなことだと思っています。

なぜ気づけたか?それは周囲の支援があったからです。周りの仲間、当時は職場にはそういう仲間がいなかったので、第三の場(サードプレイス)の仲間の励ましがありました。そして、家族のありがたみも感じました。かつて「ツレがうつになりまして(ツレうつ)」という映画がありましたが、ツレでもある妻の支援があって立ち直れました。他にも、東京を離れて一度実家のある富士に戻ってくる機会を設けました。この時期に見た富士山の美しさに感動し、人の支援とともに、美しい環境で働く、生きることも必要であると実感できたのです。

メタ認知の力をもつためには職場以外にも支援を仰げる場所をもっておきましょう。もし、職場全体が不安な状況に陥りそうであるならば、その不安を解消できる機能を組織の中に蓄積しておくことが必要ですね。組織全体を俯瞰してみたときに、メタ認知の力を発揮して物事を見つめられる機能があるかどうかです。もし組織の中に蓄積されていなければ、組織の外に備え付けでもいいでしょう。

支援を仰げるものを確保しておくことが、個人でもチームでも幸せな職場にするためには欠かせません。前野隆司教授は、幸せの4つの因子のなかに「ありがとう!」因子があることを述べています。親密な他者との社会的なつながりの多様性(多様な人と接すること)と接触の頻度が高い人は主観的幸福が高い傾向がある一方、つながりの数(接する人の数)は主観的幸福にあまり関係しない、とあります。多様な背景をもった人たちとのネットワークが、幸せの第一歩ではないでしょうか。そういったネットワークをうまく活用することとともに、多様なネットワーク形成の機会をどんどん創っていきましょう!

仕事をしていて面白いと感じる、なにかやりがいを感じるといった社員であふれる職場にするため、チームをメタ認知しながら、社員同士のつながりがどの程度のものなのか確認していきましょう。また、同じ職場以外のネットワークや支援を仰げる場所についても確認しておきましょう。メタ認知の力を個人としてもチームとして高めていくためには、どこか客観的に見れる思考を一人一人がもっておくことです。そして、チーム外からかかわるネットワークも備えておくようにしましょう。

最近は様々なものに可能性を感じています。その可能性が本物なのかも十分に確かめるようにしています。職場の結束を強くするための取り組み、チームビルディング。チームビルディングを進めていく過程で、一人一人のメタ認知力を高める試みをしていくと面白そうです。コミュニケーションを高めるきっかけにもなります。この多様な色の板のように、多様な心をもった人たちが集まっている場所で、幸せなエネルギーを生み出せると、幸せな職場ができそうで面白いですね!

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