例年、3月25日は母校(大学)の卒業式。今年は中止になったとききました。仕方ないことですが残念です。新型コロナウイルスの感染拡大がなかなか見えてこないため致し方ないですね。当時は午後から参加し、翌日の朝まで大騒ぎしたのを覚えています。すでに東京から引っ越してしまった後だったので、友人宅に泊めてもらったのも懐かしいです。
あれから20年以上が経過しいろいろなことがありました。私は今は人の成長や育成にかかわる仕事をしています。転職によって人材育成や研修を扱う業界に入って16年。心がけてきたのは、いかに相手の理解をしたうえで、自分のことをわかってもらうかということです。特に営業という仕事は、相手の話をしっかりと聴き、そのうえでアイデアや解決策を提案することが必要です。それによって、自分自身、自社の成果に数字となって表れるかが決まってきます。

昨日のブログでも紹介した「7つの習慣」のなかに、第5の習慣として、「まず理解に徹し、そして理解される」というものがあります。これは私が一番好きな習慣です。第5の習慣では、共感による傾聴をすることについてふれられています。フランクリン・コヴィー博士は、この共感による傾聴をするために、4つのステップの実践を勧めています。
第1段階:話のキーワードを繰り返す。相手の話を注意して聴こうとすることになります。
第2段階:話の内容を自分の言葉で言い直す。内容の把握を意識して聴くようになります。
第3段階:相手の感情を自分の言葉で置き換えて相づちをうつ。相手の言葉よりも感情に注意して聴くようになります。
第4段階:論理的な話は要約で、感情的な話は感情を表す言葉で相づちをうつ。
こうした聴き方を実践することで、相手は心を開くようになり信頼関係が生まれるというものです。こうなると、相手の目線・枠組みでの理解が進みます。よくパラダイムシフトなどといわれますが、この相手の目線・枠組みを受け容れられるだけの価値観の転換が重要になるということです。それを実行するためには、技法だけで話を聴くのではなく、相手を本当に理解しようと思って話を聴くことが大切です。
この第5の習慣の聴き方は、様々な場面で実践すべきものです。組織内であれば、部下や上司の話を聴くときです。特にお互いのことを理解しようとするときには有効なもので、相手のことをロジカルに説得しようと思って聴こうとしても、まったく相手のことが理解できません。心から理解をするためには、論理と感情をしっかりとおさえてきかなければならないのです。立場を越えて、お互いを心から理解する必要があるのであれば、上司の立場も部下の立場もお互いに理解したうえで、物事の判断などができるようになるでしょう。その延長線上に、職場での自分自身の存在を改めて実感でき、面白さや幸せな気持ちを仕事の中で見いだせることにもつながっていきます。
一方で、営業の場面では、顧客の事を心から理解するために必要な聴き方がまさに傾聴です。相手の課題や、相手がなかなか容易には話せないようなニーズなどを聴くために、相手の真意を聴くために、こうした聴き方を身につけておけば相手の事が理解できるでしょう。また、自分のことも理解してもらえると、相互の理解が進んで新しい価値をお互いに創出することができるのです。特に感情の理解をお互いに共有できれば、深いところまでのお付き合いになる可能性があります。お客様とのかかわりに面白さや幸せを実感できると、仕事の成果にもつながってくるかもしれません。
いずれの場面も私は経験してきました。約15年、人材育成関連業界で組織内のコミュニケーションの改善を図る場面や、顧客への営業活動を行う場面で、この第5の習慣を実践してきました。しっかりと習慣として定着させようと思い、産業カウンセラー資格を取得したのもその証です。
ただ、時折コンサルタントとして論理重視になってしまいがちなので、そうならないように意識しています。事柄ばかりを把握することだけに終始すると、相手の感情を無視してしまうことになり、機械的な印象でしかありません。相手の感情を理解し、相手の心の琴線に触れるような、課題解決を実現できるような解決策の提案を進めることが、相手の真のニーズに合致した提案が実施できるようになるのではないでしょうか。

これからも「理解」は大切にします。特に感情の理解。相手の枠組みを良く把握したうえで物事に取り組むのは欠かせないですね。
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