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キャリア形成の指針となるお薦めの書です!「人材育成コンサルタントが本気で考えた 全員転職時代のポータブルスキル大全」

先日、こんな記事が出ていましたね。「人生100年時代、年金頼み限界」というものです。

年金だけで生活をしていこうとベースを築いたのは、国ですよね。それを自ら頼っていては限界だっていうわけですよね。自らの年金政策がうまくいっていない、それをどう打開しようとしているのか、具体的な政策がない。それでいて危機感を煽って、今のうちから資産形成をと言ってますけどね・・・長生きするだけで不安になってしまうだけの社会なんてもってのほかですね。

資産形成をしていくためには、じゃー何か金融資産を運用する方法を考えるのか、というと、私はちょっと別の話をしたいと思います。

お金ではなく、自分のスキルに目を向けるというわけで・・・先日献本いただいた「人材育成コンサルタントが本気で考えた 全員転職時代のポータブルスキル大全」についての書評です。

HRインスティテュートという、経営支援・人材育成を専門としているコンサルティング会社の方々が書き下ろしたものです。この本の執筆にかかわった方々は、みな、転職を経験しているコンサルタントの方々というのが特徴的です。そのため、ビジネスの現場での研修でとりあげられるようなスキルだけでなく、転職などを通してキャリアを積み上げられた方々の実体験もこもっているかのようなものになっています。

前書きでは、このように書かれています。

「誰もが転職する」可能性があることを念頭に働く時代を本書では「全員転職時代」と呼び、「どこでも、いつでも必要とされる人材になるために必要なスキルや考え方」を解説していく。

経験から得られたスキルや考え方、人脈など、「持ち運びができるもの」をどれだけ備えているかが価値となる。そんな「ポータブルスキル」が備わっている人は、場所を変えても難なく活躍できる。

なるほど。転職の成功失敗は、よく年収の額だけで議論されるのを目にしますが、必ずしもそうではないと私は思います。仕事が変わっても、会社が変わっても、どれだけ活用できるスキルを持ち運び出来ているか、これは説得力のある言葉ですね。

本書では、ポータブルスキルとして8つのグループ、104のスキルが紹介されています。8つのグループとは、「戦略思考、コミュニケーション、目標設定、分析、時間管理、メンタル、リーダーシップ/チームビルディング、ライフハック」です。知って、実践して、反省・調整するというサイクルを回すことを本書で推奨されているように、まさに現場でやってみて自分なりの型にしていくと身につくものではないでしょうか。

104のスキルもバラエティに富んでいます。仮説思考、PREP法、アサーティブネス、フォロワーシップなど、ビジネススキルとして様々な書籍でよくとりあげられているものもあれば、おもしろいネーミングのものや、執筆陣の生々しい経験などが盛り込まれているであろうものも入っていて、単なるスキルの勉強のためのものではないことが伺えます。

たとえば、96番の「本音ブッコミ力」。かつて、私もある会社の営業のコンサルティングにかかわった際に、「ちゃぶ台返し」をしてほしいと言われたことがありました。ただ、それはネチネチと、じわじわと壊すのではなく、思いきり既成概念を取っ払うかのように壊す。この本でも、ブッコむ際には、「明るく、大きく、いい加減に」。細かいところをネチネチついても、変革は起こらない、とあります。

このスキルのネーミングも含めて、納得してしまうものが結構あります。

その中の1つを紹介します。34番の「外堀力」将を射んとする者はまず馬を射よという故事成語にあるように、ビジネスの現場では、周りの人たちを味方につける力とされています。製薬業界のMRのケースが本書では紹介されていますが、本当に口説き落としたい人に会うためには、まず周りの方々と会ってファンを増やすということは確かに必要です。企業のマーケティングでも活用される力ですし、様々な業界で真の顧客に買ってもらうために必要なスキルでもあるので、しっかりと顧客の状況をつかって発揮できるようにしたいものですね。

この本の104番目のスキルに、本書を執筆されたHRインスティテュート社のミッションについて書かれています。「主体性を挽き出す」というものです。この「挽く」という言葉には、どこかから引っ張りだすのではなく、焙煎されるコーヒー豆の香りのようにじわじわと発揮されるもの、とあります。挽き出し方や人の個性によって、味も変わってくる、とあります。

たしかにそう思います。自分が主体的に動く際に必要なものは、その時の行動や思考を継続していく過程で、じわじわと出てくるような実感があります。何度か主体的に動く場面を経験していくと、今まで出来ていなかったことが出来るような実感を覚えるわけですね。営業のトークや、周りを巻き込む働きかけ、マーケティング視点をもった分析など、出来たという実感を得られるんです。これで持ち運びが出来そうだという自信にもつながりますよね。

人材育成コンサルタントとして、様々な組織の研修やコンサルティングにかかわってきた私としても、新たに自分を見つめなおすきっかけになるとともに、多くの組織の方々に伝えていけるバイブルのような存在の書です。

特になにか自分のキャリアに行き詰まりを感じたときなどには、読まれるといいでしょう。転職をしようと思ったとき、転職をしたときだけでなく、日々のキャリア構築の確認にも活かせる本です。

HRインスティテュートのシニアコンサルタント三坂健様を始め執筆陣の方々、そして、本書をご紹介くださった経営コンサルタント・ビジネス書作家の大杉潤様に感謝いたします。ありがとうございました!

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