ふと耳をすませば・・・静かな空間に響く水(湯)の音。擬音で表現するのは難しいのですが、とても癒される音です。この音に癒されて、気持ちがほぐれます。なんだか現実の不安を吹っ飛ばしてくれるんだなって思います。

昨日は、オンラインで開催された「サードプレイス・ラボ」に参加しました。ご存知、私もメルマガリレーコラムを書いているサードプレイス(いつも安斎さん、ありがとうございます!)。今回のテーマはオンライン茶道。東京・日本橋の茶室にはなかなか行けないので、仮にコロナによる緊急事態宣言が明けてもなかなか行けないのでとても貴重な時間になりました。
テレワーク、おうち時間、などなどで人の行動に様々な制約がかかるなかで、こうした気持ちを安らげる時間があるのは、心にとてもいいなと率直に感じました。茶道の先生である水上繭子さんのご説明の後、実際に水上さんがお茶をたててくださったのです。水上さんは表千家の先生でいらっしゃいます。
ZOOMで画面の向こうにてお着物を召した水上さんが、静かに一人お茶を点てる。一つ一つの所作が定点カメラ越しに映るとともに、湯を注ぐ音やお茶を点てる音が響く。この音が日本らしくてじっくりとききいっていると気持ちが和らぎます。
日本の戦国時代、千利休に代表される茶人たちによって大成された茶の湯。今年NHKの大河ドラマで「麒麟がくる」では、お茶で毒殺されるシーンがあり、「お茶は毒殺に使われていた?」どうもそんなイメージがありましたが、やっぱり静寂の中で心を落ち着かせてお茶を味わえるのがいいんです。これが本来の「お茶」を味わうですよね。どなたかが「茶室が武将にとってのサードプレイスだったのでは」とおっしゃってましたけど、まさにそうかもしれません。現代のビジネスパーソンたちにとってのサード・プレイスであるように。
東京でビジネス茶道の会が行われているそうで、在京中に行きたかったのですが、それがかなわず(現在はオンラインで行われているそうです)。ただ、今回、オンラインでも雰囲気をお茶の場の雰囲気を十分に味わえて、心に落ち着きをもたらすことができてよかったです。
仕事をするうえで心を落ち着かせる時間は必要です。勢いで多くの打ち合わせを立て続けにこなしまくるのも、一つの仕事のやり方です。ただ、ずっと走り続けていては知らず知らずのうちに疲労を蓄積することになります。そのようなことにならないように、どこかでブレーキをかけて落ち着かないと脳が疲労してしまい、うつ病などを発症するリスクが高まります。自分だけは大丈夫、などと思わない事です。実際かつての私がそうであったのですが、自律神経を悪くしてしまいました。落ち着く時間がないから睡眠が不安定になり、気持ちもどこか暗くなってしまいます。
現在は、テレワークや在宅勤務主体の生活になっていて、自分の心をうまく制御できない瞬間も多くあるでしょう。顧客との打ち合わせの場面や、回線の接続や会議ツールの起動がうまくいかないなどによってストレスを抱えてしまう。社内のミーティングで、画面越しに全員の面前で思いきり叱られてそれがトラウマになることもあります。全員が一斉に映っているところで一人だけ叱られる、注意されると、それだけでプライドがズタズタになってしまいます。心が乱されてしまい、なかなかそこから回復できないということもあるでしょう。こういう気持ちを味わった人でなければこの苦しさはわからないと思います。
物理的に同じ場所であれば、コミュニケーションをとって解決できることがあると思います。しかし、オンラインですと、その場にいるのは家族もいなくて自分一人であるというケースもあります。そうなると、ずっとモヤモヤしてしまうことだってありえます。そういうことを回避するためにも、やはり心を落ち着かせるだけの取り組みは欠かせないといえます。交感神経と副交感神経の話もありますように、ずっと気持ちが乱れたままでは、体を悪くするリスクも高まります。そのためにも落ち着く時間は必要です。

今回のオンライン茶道。実際に茶室でお茶をいただくのがいいとは思いますが、そうでなくても気持ちを落ち着かせることができたのは、日本古来の文化のなせる業なのかもしれません。
こんな素敵な企画をしてくださった安斎さんに感謝感謝です。そして、水上さんありがとうございました。
サードプレイス、オンラインでもこうしてできるのはとてもいいです!
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